2013年6月23日日曜日

残すべき傷跡

日赤病院前にあった被爆物が移動されて補修中でした。


広島では、原爆ドームだけでなく、至る所でこういった過去の傷跡を目にします。被爆した建物、電車、木などが今もそのまま生きていることを知ったのは、住み始めてからでした。

とても美しい街なのですが、それは一度すべてを失っているからでもある。歩いているだけで、自然といろいろ考えさせられます。

東北でもあちこちで、被災の跡を残すか残さないかについて幾度となく議論になっています。福島に実家がある私も、いまだに津波映像どころか当時の小名浜港の写真すら見たくないので、早く撤去してほしいという人々の気持ちも良く分かるのです。しかし一方で、初めて原爆ドームを見上げたときの衝撃も忘れることができません。伝えていかねばならない過去もあるのだと。

正解がないから難しい。

東日本大震災を思い出すと、もちろんあんなことは二度と起こってほしくありません。心からそう思います。けれど阪神大震災もこの目で見てきた身として、現実に考えることは「次にまた起こったとき、どう行動できるか」なのです。

大自然の脅威には抗えません。その恐ろしさをしっかりと胸に刻み、できる限りの対処をしながら生きていくのが自然と共存するということなのでしょう。喉元を過ぎれば熱さを忘れるのが人間です。このような傷跡は残していくべきなのではないかと、迷いながらも私はそう思います。経験した私たちが忘れないためにも、そして経験していない未来の世代のためにも。

初めて訪れてからまだ2年足らず。広島の街には教えられることばかりです。

 

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