2013年10月15日火曜日

「失踪日記2/アル中病棟」

むかーし読んで印象に残っていた「失踪日記」というエッセイ漫画に、続編が出ました。「失踪日記2」となっていますが、前作を読んでいなくても問題なく楽しめます(前作も面白いですけど)。

失踪日記2 アル中病棟(吾妻ひでお)




アルコール中毒とはどういうものなのか、どんな人々がいてどんな治療をするのか、退院後の苦しみはどんなものなのか、依存症につきまとう鬱症状…あちこちに笑いをまじえつつも非常にリアルに描かれていて、ぐいぐい引き込まれました。漠然と知っているつもりでも、知らなかったことがたくさんあります。AA(Alcoholics Anonymous:アルコール中毒者更正会)はアメリカ発祥で映画にもよく出てきますが、日本におけるAAと断酒会の違いなどは全然知りませんでした。

依存症の恐ろしさ…アルコールに限らずとも、自分がこうならないという保証はどこにもないのですよね。自分でなくとも、身近な人がなってしまうかもしれない。人間の弱さと向き合い、自分の中にある目をそむけたい部分をさらけ出しているところが、前作も含めこの作品の魅力だと思います。何気に、ずっと一緒におられる奥様もすごい方ではないかなぁと。重い内容をさらっと笑いをまじえて描いてしまうのもすごい。

〆切のない描き下ろしのため、描き上げるまでに8年かかったそうです。お酒に依存しないための生き甲斐を見つけなさいと言われて、やはり吾妻さんは描くことを選んだ。5年前からデッサン教室にも通い始めたとか。

生きる意味って何だろうね、なんてことも考えさせられてしまいます。おそらく吾妻さんも、奥様とお子さんの存在がなかったら更正するのは難しかったのではないでしょうか。ボリュームもあって、渾身の一作というのがふさわしい作品でした。

アメリカ土産にいただいたチョコをお供に
(とっても美味しかった~!)




















発売後1週間ほどで買った私の手元にある1冊が、既に第3刷。一時期はamazonでも品薄だったので、近所の本屋さんで在庫を尋ねました。「アル中病棟、入ってますか?」と恥じらいながら聞いたのは良い思い出です。(「えっ?」と聞き返されて、わざわざスマホの画面で表紙を見せつつ調べてもらい、結局入荷はなかったというオチ…恥)


 

2 件のコメント:

  1. ニコチン依存も同じつらさがあるのでしょうけど、
    アルコールのように人格が損なわれることはないように思います
    お酒には人生を楽しくする良い面があるが難儀ですね
    うっちーさんは、良い本を読まれて教えてもらえて嬉しいです


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    1. そうですね。私もお酒を飲む人間なので、他人事とは思えない部分もあり一気に読んでしまいました。ニコチンよりもやめるのが難しいようです。これはコミックなので、空き時間に気軽に読めますよー。

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